命を守る!世界一周前に受けるべき予防接種9つ

予防接種世界一周にはさまざまな準備が必要です。中でも予防接種は、持ち物やルートの決定などに比べ、あまり重視していない方も多いのですが、安全な世界一周を達成するためには絶対に必要な準備だと言えます。この記事では、予防接種の必要性や各予防接種の詳細を紹介していきます。

なぜ予防接種が大切なのか

日本においては、乳幼児期にいくつかの予防接種が義務付けられていますが、大人になってからはインフルエンザくらいしか予防接種を受ける機会はありません。では、世界一周に際してなぜ予防接種が必要なのでしょうか。
これは、日本と世界各国の環境の違いにあります。熱帯・亜熱帯地域では蚊が媒介となる感染症が流行していますし、日本のように衛生管理がなされている食べ物ばかり口にできるわけではありません。世界一周できるのも健全な体があってのこと。

健康を損ねては楽しむことはおろか、途中で帰らなくてはならない事態になったり、最悪の場合死に至る危険性だってあるのです。予防接種は必ず受けましょう。

世界一周に必要な予防接種

旅と注射世界一周する前に受けておくべき予防接種をまとめました。

1.黄熱病(おうねつびょう)

・黄熱病とは
黄熱ウイルスを持った蚊を媒介として感染します。潜伏期間は3〜6日程度。発症すると発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの初期症状が現れ、そのまま回復するケースもありますが、進行すると皮膚や目の黄疸、いくつもの臓器からの出血などが起こり、最悪の場合死に至ることもあります。
・致死率
致死率は5〜10%ですが、流行時や免疫を持たない方などにおいては、60%以上にものぼります。
・感染する危険のある地域
アフリカ、中南米などの熱帯・亜熱帯地域。
・予防接種の回数有効期間
1回の接種で、接種10日後から生涯有効(2016年7月11日より、それまでの10年間有効から生涯有効へ変更となりました)。
・予防接種の費用
10,000円
・注意点
黄熱の予防接種証明書(イエローカード)を携帯していないと入国できない国があります。世界一周に出るときは、必ずパスポートと一緒にイエローカードを携帯するようにしてください。

2.A型肝炎

・A型肝炎とは
A型肝炎ウイルスによる一過性の感染症です。水や氷、野菜や果物、魚介類にウイルスが付着し、口に含むことで感染します。性行為が原因となることもあります。2〜7週間という長い潜伏期間が特徴で、症状には発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐などがあります。
・感染する危険のある地域
基本的に衛生状態の悪いところでは感染リスクが高まります。日本、北米、オセアニア、ヨーロッパの先進国を除くほぼ全ての途上国で感染する危険性があります。
・予防接種の回数と有効期間
2〜4週間間隔で2回接種。さらに約半年あけて3回目の接種をすれば、免疫は強化され、5年間有効となります。
・予防接種の費用
1回7,500円

3.B型肝炎

・B型肝炎とは
B型肝炎ウイルスによる感染症で、感染者との性行為や、ウイルスに汚染された医療器具の使用によって感染します。3〜5ヶ月ほどの潜伏期間を経て、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸が現れます。
・致死率
致死率は1%と低いものの、慢性化すると肝硬変や肝がんになることがあります。
・感染する危険のある地域
人を介する感染であるため、日本国内を含めどこでも危険性はあります。
・予防接種の回数と有効期間
半年かけて3回接種が必要です。有効期間はワクチンによって異なり、5〜20年です。
・予防接種の費用
1回4,000〜8,000円

4.破傷風

・破傷風とは
破傷風菌が原因となって、口や手にしびれが起こる病気です。破傷風菌は土の中に存在し、傷口などから体内に侵入します。3〜21日ほどの潜伏期間があり、口の開けづらさ、首筋の張り、体の痛みなどを感じます。進行すると全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難があり、最終的に死に至ることもあります。
・致死率
50%程度と比較的高い致死率です。
・感染する危険のある地域
破傷風菌は世界中の土の中に存在していますので、どこでも危険があります。
・予防接種の回数と有効期間
4週間隔、3回の接種で10年間有効です。
・予防接種の費用
1回3,500円
・注意点
破傷風ワクチンは、3種混合ワクチンに含まれています。そのため、定期予防接種を12歳の時に受けており、かつ20歳前半であれば免疫がある可能性があります。その場合、追加接種1回のみで済みますので、母子手帳などで確認してみましょう。
30歳以上の人は免疫が消失している可能性が高く、また1968年以前は法定接種でなかったため、受けていない可能性のある方は基礎から3回接種が必要です。

5.狂犬病

・狂犬病とは
狂犬病ウイルスを保有する哺乳動物の唾液から感染する病気です。動物に噛まれたり、傷口や粘膜を舐められたりすることで感染します。感染後10日目あたりから発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などが現れ、ものを飲みづらくなる、液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするなどの症状に発展します。やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し、死に至ります。
・致死率
発症した場合の致死率はほぼ100%という、恐ろしい感染症です。年間5万人以上が命を落としています。
・感染する危険のある地域
アフリカ、アジア、中南米のほとんどの国で流行が確認されています。狂犬病リスクのない国が減っていることも事実です。
・予防接種の回数と有効期間
3回の接種で3年間有効です。
・予防接種の費用
1回12,400円
・注意点
狂犬病の予防接種は、受けたから安心とは言えません。万一動物に噛まれた場合、24時間以内にワクチン接種が絶対に必要です。予防接種は、そのときのワクチン接種の回数を減らすことができるものであり、完全に予防できるわけではないことを覚えておきましょう。

ヒトスジシマカ

6.日本脳炎

・日本脳炎とは
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスが引き起こす重篤な急性脳炎です。日本脳炎ウイルスには、蚊を媒介して感染します。ただし、ウイルスを保有している蚊に刺されても症状の出ない場合が多く、発病率は0.1〜1%ほどです。6〜16日間の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐などがみられます。症状が進むと、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが起こります。
・致死率
重症例のうち50%が死亡するとされ、毎年3万5千~5万人の患者が発生、1万~1万5000人が死亡していると推定されています。また、生存しても30〜50%に精神障害や運動障害などが見られると言われています。
・感染する危険のある地域
日本を含むアジアで感染リスクがあります。
・予防接種の回数と有効期間
子供の頃の定期接種で、基礎免疫が完了していると思われます。基礎免疫が完了していれば、1回の追加接種で4〜5年有効です。
・予防接種の費用
1回6,400円

7.ポリオ

・ポリオとは
ポリオウイルスにより、急性麻痺が起こる疾患です。90〜95%の人は、感染しても症状が現れません。発症すると、発熱、頭痛、のどの痛み、吐き気、嘔吐などのかぜに似た症状が現れます。呼吸困難で死亡したり、麻痺が生涯残ってしまったりするケースもあります。
・致死率
成人の場合、15〜30%。
・感染する危険のある地域
アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンなどが流行地域です。他にも、赤道ギニア、エチオピア、イラク、イスラエル、ソマリア、カメルーン、シリアで発生が報告されています。
・予防接種の回数と有効期間
日本では定期接種に指定されているので、1回の追加接種で10年有効です。基礎免疫がなければ3回接種が必要です。
・予防接種の費用
1回3,050円

8.麻しん(はしか)

・麻しんとは
小児によく見られる、感染力の強い全身性の感染症です。肺炎や中耳炎、重症例では脳炎などを合併する危険性があります。症状には、38度程度の熱、咳などの風邪に似た症状、結膜の充血などがあります。さらに、熱が一度下がった後、39度ほどの高熱が出て、赤い発疹が出てくるのが特徴です。
・致死率
脳炎などの重篤な合併症を発症した場合、致死率は上がる傾向にあります。
・感染する危険のある地域
世界中どこでも感染リスクがあります。
・予防接種の回数と有効期間
2回接種が必要。抗体は20〜30年ほど持続するとされています。
・予防接種の費用
5,800円
・注意点
子供の頃に定期接種を受けている、または麻しんにかかったことがあれば接種は不要ですが、免疫の有無がわからなければ受けることを推奨します。

9.腸チフス

・腸チフスとは
腸チフスとは、チフス菌による感染症です。汚染された水や氷を口にすることで感染し、1~3週間の潜伏期間の後高熱、頭痛、全身のだるさ、発疹、便秘などの症状が現れます。重症例では、腸からの出血や、腸に穴が開くなどの症状が見られます。
・致死率
1%程度ですが、発症すると致死率が高いと言われています。
・感染する危険のある地域
世界中で見られますが、特に南アジアでの感染が多く見られます。他にも、東南アジア、アフリカ、カリブ海、中央および南アメリカにおいて感染リスクがあります。
・予防接種の回数と有効期間
1回接種で約3年間効果が持続します。

旅前予防接種Q&A

予防接種を受ける人

どこで受けられるの?

各予防接種は、検疫所やトラベルクリニック、旅行外来・渡航外来のある一般の病院・クリニックなどで受けることができます。
また、複数回接種が必要なものについては、日本で何回か受け、出発後現地で追加接種を受けるという方法もあります。日本より物価の安い国であれば、安く済むというメリットがあり、さらに国によっては黄熱病の予防接種を無料で受けられるところもあります。

すべて受けるべき?

すべて受けておけばある程度安心ですが、費用の負担も大きく、また時間もかかるため、渡航先やご自身のリスクに合わせて必要なものだけ受けるとよいでしょう。
私の場合、黄熱病、A型肝炎、破傷風の最低限のものだけ受けました。狂犬病も受けようか迷いましたが、結局接種しても動物に噛まれてしまった場合ワクチン接種が必要なのには変わりがないので、費用対効果を考えて断念しました。また、麻しんにはかかったことがあったため、免疫があると判断し、受けませんでした。

旅と予防接種まとめ

いかがでしょうか。予防接種は、受けることである程度安心することができますが、絶対ではありません。十分加熱処理してあるものを食べる、生水は口にしない、カットフルーツは避ける、蚊に刺されないようにするなど、現地でできるかぎりの予防をすることが大切です。